狭小住宅コラム

ラウムハウスが取り組んでいる「狭小住宅」について、様々な角度から解説していきたいと思います。これから「狭小住宅」を建てるお客様にとってお役に立てる情報が発信できたらと思います。

③ ラウムハウスが狭小住宅に特化している理由

これまでのコラムでも述べたように、一般的な住宅と比べると、狭小住宅は設計的にも施工的にも難しいことがとても多い住宅です。

当社はそういうことを分かったうえで、あえて、この「狭小住宅」に特化した家づくりをしています。いわゆる「狭小住宅専門の工務店」というわけです。
そこで今回は、「なぜ当社が狭小住宅に特化しているか」その理由を少し紹介したいと思います。
 
当社も以前は、敷地も広い一般的な2階建ての住宅を中心に建築をしていたのですが、あるとき、一度当社の家を建てたお客様から「こんな土地があるんだけど家を建てることは可能でしょうか?」という相談を受けました。
今思えば、そこが全ての始まりだったような気がします。
 

三角形の狭小地の相談 

その土地は三角形の形状で、面積も16坪と非常に小さく、非常に難易度の高い敷地でしたが、色々と考えているとなんとかなりそうと感じたので、「一度設計してみましょう」ということで、計画をスタートしてみました。
色々と難しい点はあったのですが、お客様としっかりと打ち合わせをしながら、何が最も良い方法なのかを突き詰めて考えご提案をしていくことで、結果としてとても喜んでいただいた住宅となりました。

この現場を経験したことで、少々敷地条件が厳しくても、突き詰めて考えて取り組めばお客様の喜ぶ家が実現するということを実感したのです。
 
それからしばらくたって、仕事でお付き合いのある方から次のようなご相談がありました。
その方の息子さんが家を計画中で、鉄骨系大手ハウスメーカーと打ち合わせをしているのだけれど、中々うまくいかなくて困っているので相談に乗ってほしいということでした。
 

大手ハウスメーカーでは対応できない狭小住宅を建てる

 
その土地は間口が5.3mで面積も19坪というまさに「狭小地」で、そこに3階建てを建てたいとのことでした。お客様もこだわりを持っていていろいろな要望を投げかけるのですが、そのハウスメーカーではできないことが多すぎて、自分たちの理想の家になりそうにないという悩みを持っていたようです。
私としては、以前の三角形の狭小住宅の経験があったので、できればお力になりたいと考えてこのお話をお受けしました。
当社では、大手ハウスメーカーと比べても細かい対応力は自信があったので、お客様のご要望やこだわりを聞きながら、詳細の打ち合わせを進めていく中で信頼をいただき、結果として建てさせていただくことになりました。それが「小坂町T-HAUS」です。
 

小坂町T-HAUSの詳細はこちら
 
比較対象が鉄骨系のハウスメーカーだったので、お客様も耐震性は重要視されていたのですが、これも当社が標準としている「SE構法」の強みをご理解いただいたことも大きかったと思います。
この家は、間口が狭く奥に長い建物ですが、家の中心に中庭があり、1階の玄関にも2階のリビングにも光が差し込む、とても気持ち良い家となりました。
「光と空間を提案する」というラウムハウスのコンセプトの原点となっている家だと思います。
 
このような制約の厳しい家に取り組むことで、大手ハウスメーカーでも満足させられなかったお客様が、当社の家に満足する姿を見させていただき、自分としても大きな自信になりました。そこで、これからもこのような条件の厳しい「狭小住宅」をあえて追求していこうと決心したのです。

これは「物事を突き詰めるのが好き」という私自身の性格も大きいと思います。制約条件が厳しい中、それを解決していく方法を考えていくことにやりがいを感じて、現在も狭小住宅に取り組んでいます。
これが、ラウムハウスが狭小住宅に特化している理由です。
 
工務店としては、「どんな会社でもできること」しかやっていなければ、お客様に魅力的に見えないと思います。そう部分でも「一般の工務店がやりたがらない分野に特化する」ことで、お客様のニーズに応えられて経営も安定すると思ったことも大きな理由でもあります。
そういうことで本格的に「狭小住宅専門の工務店」に取り組む決心して、現在に至ります。
 

狭小住宅専門の工務店として

 
以来、「狭小住宅専門の工務店」として、WEBサイトで本格的に発信をしていくと、同じように厳しい敷地条件だけど、質の高い家を建てたいとお考えのお客様からの問い合わせが増えていき、結果として、多くの狭小住宅を建てさせていただいています。
 

ラウムハウスの狭小住宅の作品事例一覧はこちら
 
当社は規模も小さいので、年間4~5棟の受注しかできません。しかし、そのすべてを狭小住宅として建築していることで、これまでも様々な経験やノウハウを培ってきました。
 
例えば、道路斜線が厳しい場合は天空率という手法でクリアすることも可能です。
また、準防火地域の三階建ての場合、構造材を表すことができないのですが、当社は燃え代設計を行うことでそれも意匠的に見せることができます。
プランニング的にも、面積以上に空間を広く感じる提案や、中庭をうまく活用して光を取り入れる提案なども積極的に使っています。ビルトンガレージやスキップフロア、屋上活用など、構造的な安心感を維持しながら、通常の在来木造では難しい設計もSE構法の強みを最大限に活かして提案しています。

施工についても、前面道路が狭いと工事車両が入れずに工事ができないという住宅会社もあるようですが、当社では特殊な建て方システムを採用してできるだけスムーズに施工できるように対応しています。業者や職人も私の考えに賛同してくれて、敷地境界までの距離が短いなどの施工が難しい現場でも、積極的に取り組んでくれています。
 
一言で「狭小住宅」と言っても、敷地条件やそこに暮らすお客様のスタイルは様々です。これからも難易度の高いケースに出会うと思いますが、当社の強みを最大に生かして、安心で心地よい狭小住宅の提案に着実に取り組んでいきたいと思います。
 

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