狭小住宅コラム

ラウムハウスが取り組んでいる「狭小住宅」について、様々な角度から解説していきたいと思います。これから「狭小住宅」を建てるお客様にとってお役に立てる情報が発信できたらと思います。

狭小住宅を設計する上で大事なポイント

 
敷地条件が厳しい「狭小住宅」の設計は、一般的な敷地と比較して難易度が高いケースがとても多いです。それをどこまで考え抜いて最適な提案をするかは私たち住宅会社の大きなテーマだと思います。
そして、この設計の過程では、いくつかのポイントを押さえながら計画していくことが非常に大事になります。今回は、これまでの私の経験を踏まえてそのあたりを解説したいと思います。
 

 

「明るく開放的な空間」

 
まずは、限られた敷地条件と法的に建築可能な床面積の中で「明るく開放的な気持ちよい空間をどう作り上げるか」ということがとても重要になります。ある意味、ここをどこまで考え抜いて計画していくかが、狭小住宅の善し悪しを決める最大のポイントといっても過言ではないと思います。これは「光と空間を提案する家づくり」という、ラウムハウスのコンセプトになっているテーマでもあります。
「気持ち良い空間」とは、○○畳のリビングというような単純なものではありません。
「縦の空間の広がりをどうやって感じさせるか」や「外からの光をどれだけ取り入れるか」、「外からの視線を遮るプライベートな空間の提案」など、心地よい空間としてしっかり考慮して設計することが大事なのです。
特に間口が狭く奥行が長い敷地の場合は、隣地の建物が迫っているので光が入りにくく、外からの視線も気になるケースがほとんどです。

これらの問題を「設計のアイデア」で解決することが必要となります。これはあくまでも「提案力」の問題なので、その住宅会社や設計担当のスキルなどによって大きく変わってくることになります。たまにしか狭小住宅を設計しない会社の担当者では、なかなか難しい問題かもしれません。
 


ラウムハウスの場合では、これらの課題に対してあらゆる方向性から最適な解決策を考えて計画するように心がけています。
例えば、「吹き抜けや勾配天井をうまく活用して開放感を演出する」とか「無駄な仕切り壁を作らない」「階段もできるだけオープンにして空間と一体化する」などのように、その敷地やお客様の暮らし方に合わせて、できるだけ開放感を感じる空間をご提案しています。
また、場合によっては「スキップフロアのように平面的にも変化を感じる提案」や「中庭のような外からの視線を遮りながら家の中に光を取り入れる提案」、「構造材を表しにして天井高を上げる提案」等々、様々なアイデアを取り入れることを考えています。
 


また、できるだけ空間を最大利用するために、構造的に無関係の間仕切り壁などは壁厚の薄い特注サイズで設計することも提案します。工事は大変ですが、この限られた空間に家具などがきちんと納まることを思えば、このような設計のスタンスはお客様にとって必要なことだと思って取り組んでいます。

しかし、このような提案は、耐震性も検証しながら計画しないと構造的に弱くなる恐れもあるので注意が必要です。耐力的な柱や壁を多く必要とする「在来木造」や「2×4工法」でこのような設計をすると、耐震性を著しく落とす可能性もあるので簡単にお勧めできないケースもあります。ラウムハウスが「SE構法」のような最新の技術を使う理由もここにあるのです。

また、断熱性も一定レベル以上にしておかないと、住み心地も悪くなることもありますので、その住宅会社にもどのような性能なのかを確認していただくと良いでしょう。
これら性能についての詳細は次回以降でも解説しますが、設計だけでなく性能の高い建築技術を活用することで解決していくことが大事だと思います。
 
 
次に大事なことは、法規的なところを守りながら、そのなかで最大の空間を作るということです。これについてはどんな住宅でも同じことですが、狭小地は特に厳しく感じるケースが多いので、そこをどうやってクリアするかもノウハウ的に重要だと感じます。

例えば「建蔽率」です。これは「敷地面積のうち何%まで1階部分の建築を計画しても良いか」という規定ですが、敷地が狭いと当然建てられる面積も小さくなります。ただ、最近法律が変わって、準防火地域内においては「準耐火構造」にすると10%建蔽率が増えるという特例がありますので、それを活用して少しでも1階部分を広く設計することは可能となっています。これはいまだに知らない工務店さんもいるようですので、是非覚えておくとよいと思います。

そして、容積率です。「敷地面積のうち何%まで総床面積を計画しても良いか」という規定ですが、吹き抜けやバルコニーはこの床面積に含まれないケースが多いので、これも上手に検討すると良いと思います。
 


更に、斜線制限という規定があります。
北側斜線は北側にかかる斜線制限、道路斜線は道路からかかる斜線制限です。
どちらも地域や道路幅などによってその厳しさが変わります。場合によっては、この斜線が厳しい場合、総3階の家が難しくなることもあります。屋根の向きや勾配などをうまく考えながら、平面だけでなく立面的にもデザインを考慮していく必要があるのです。
 


道路斜線については「天空率」という計算をすると、一部かわすことができる場合がありますが、この「天空率」は計算がとても難しく、現実に計算できないという工務店も多く存在します。ちなみにラウムハウスでは、積極的にこれを使って対応しています。このようなノウハウも意外と差が出るようです。
これらのように、狭小住宅では一般的な大きさの敷地よりも、設計のアイデアやスキル、知識がより重要になります。それをしっかりと考え抜いて提案してくれる会社を選んでほしいと思います。
 
しかしながら、やはりプランニングについては「お客様の暮らし方やこだわり」がとても重要です。それは敷地の大きさには関係ありません。
この暮らし方については、ラウムハウスとしてもしっかりとヒアリングをすることでできるだけお客様のことを理解・把握したいと考えています。お時間を作っていただき、ヒアリングシートに記入していただいた内容を基に、設計士が直接ヒアリングさせていただいています。「敷地条件」「お客様の暮らし」「ご予算」「建築技術」などをトータルで考えて、お客様にとって最適と思われるプランニングのご提案を心がけています。

今後もそのような意識を持ちつつ、「世界で一つだけの家」を狭小住宅でも提案していきたいと考える次第です。
 

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